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同一労働同一賃金の対応策に向けて、何から手を付けて良いかわからないとお悩みではありませんか? 同一労働同一賃金への適正化に向けた取り組みは、どこまで対応策を取ればよいのか? ややもすると、専門家でもその線引きに苦慮することがあります。まずは、基本的な理解(法の求めているものは?・それは義務?努力義務?配慮義務?・言葉の定義などを理解)するところから始めましょう。次に、その理解のもとに法解釈でもある行政の『ガイドライン』や裁判例により、判断するための重要な要素は何か?を押さえることです。そして最後に、具体的な自社で運用できる実効策を決めていくことになります。このページでは、そんな皆さんが、同一労働同一賃金の法対応への適正化に向けた対応策を実行する一歩を踏み出して頂けることを願って記載しました。
最初に行うのは、同一労働同一賃金の法である「パート有期法」の概要を知ることです。ここでのポイントは題名(同一労働同一賃金)から連想して対応の方向性をイメージしないことです。『 いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用 労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの』(厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン案」)と定義づけられています。決して同じ仕事をしている人は同じ賃金を支払わなければいけないと、言うものではありまん。会社が対応すべき重要な項目は2つ(①均衡均等待遇の実現 ②説明義務の履行)です。①の均衡均等待遇は、「職務の内容(業務内容と責任の範囲)」・「職務の内容・配置の変更の範囲」が同じ場合は差別的取り扱いを禁止(同一賃金)、違いがある場合は、「その他の相違」も加味して違いに応じて適切と認められるものを考慮して、不合理な待遇差を禁止しています。ポイントは、一つ一つの待遇ごとに判断すること、そしてこの待遇差は労使が自由な意思で合意された労働契約であっても、その部分(待遇差のところ)は無効となることです。②の説明義務は、単に待遇差の内容を説明するだけでなく、その待遇差を設けた理由まで説明を求められています。説明義務を果たすタイミングは、雇い入れ時と求めがあった時の2つです。法律(パート有期法)の趣旨は、会社に説明を義務付けることで、短時間・有期雇用労働者の「納得性」を高めることにあります。この説明義務を果たすこともこの法律の重要な位置づけとなっていますので、しっかり対応しましょう。
法の概要を理解した上で次に行うことは、自社の現状分析です。自社ではどのような雇用区分で人を採用し活躍しているのか? 人事管理上は雇用区分のボリュームゾーン(どの雇用区分に人が集中しているか)も把握しておくことが大切です。例えば、横軸に雇用区分(正社員・契約社員・パートタイマー・嘱託など)、縦軸に定義・適用する就業規則名・役割・責任区分・人事異動の範囲・労働条件・福利厚生、教育などの待遇・様々な規定にある条件や労使慣行の項目を全て抜き出し、どのような違いがあるかを一覧表で見える化します。おそらく多くの会社では、雇用区分別の労務管理(労働関係・労働条件・人事管理の制度と運用)が、明確になっていない又は意識せずにいたことがわかると思います。契約内容と適用する制度を照らし合わせ、運用面でも一致させることは、今後の同一労働同一賃金を適正化に向けては非常に重要になりますので、ご注意下さい。
法の概要を押さえて自社の現状を知り、そのギャップを確認するステップに入りますが、法の解釈の方向性を誤らないために行政が発行した方の解釈の位置づけになる「同一労働同一賃金ガイドライン」のポイントを確認しましょう。まず共通して言えることは、各待遇ごとにその待遇の性質と目的に照らし合わせて検討します。①基本給、ここの注意点は前提条件として正社員と有期契約社員が同じ賃金体系(例えば、同じ職能給制度・職務給制度・年齢給制度・勤続給制度・・・など)の場合として解説しています。多くの会社では、正社員が職能給や年齢給などで契約社員は世間相場等を考慮して決める職務給を採用していると思います。結果的にそのようになっているケースが多いいのも事実です。従って、前提条件が違いますので、現段階では、ガイドラインの解釈の方向性を間違えなければ、ほとんど問題になるケースは無いと考えられます。②賞与、各社の賞与の性質と目的によって、対象者にパート等が入るのか否かを判断し、入るのであれば支給水準を検討することになります。尚、特段の事情が無く、基本給と同じ性質、目的であれば①と同様の判断になり得ると考えられます。③各種手当、こちらは様々な手当が各会社毎にあり、例え同じ手当でも各社にて支給の目的が異なることもあり得ます。従って、一概に一般化して、この手当は正社員と同一にするとかパート等には支給しないで良いとか、決めることが出来ません。一つ一つ丁寧に見ていくことになります。手当の性質と支給する目的を手当ごとに書き出すことを行います。その上でパート等に支給する可否を決め、その理由も記載し記録に残します。これは、全てに言えることですが、同一労働同一賃金で使用者に義務付けられた「説明義務責任」を果たす上で、必要となります。
020年10月は同一労働同一賃金の最高裁で複数の案件にて判決が出ました。今後の法の解釈や企業の実務への落とし込みに非常に参考となるものです。行政のガイドラインは比較的明らかに解釈できるものを事例として説明されていますが、実務ではグレーゾーンで判断に困る場面が比較的多く発生すると思います。その場合、会社の主観的な判断では無く、裁判での判決(判例)による考え方を参考とすると、合理的で納得感が得やすいものとなります。代表的な判例(長澤運輸・ハマキョウレックス・日本郵便・メトロコマース・大阪医科薬科大など)は是非調べて置くことをお勧めします。ここでは、その概要(裁判毎の特徴)を説明します。はじめに、大阪医科薬科大では、賞与の主な性質と目的が次の様に明示されました。①算定期間の労務対価の後払い ②一律の功労報償 ③業績連動の場合はそのかかわり度合い ④将来の労働意欲の向上 ⑤正社員人財確保と定着。そして正社員登用制度は、その他の事情として、不合理性を否定する有効な制度であることも示されました。次に、メトロコマースでは、退職金について、裁判官2名の補足説明があり「使用者の裁量判断を尊重する余地は大きい」との見解を示しました上で、退職金の主な性質と目的が①労務対価の後払い ②継続勤務への功労報償と明示された。そして職務内容や配置の変更の範囲の違いを理由 に不支給は不合理でないと致しました。退職金においても大阪医科薬科大と同様に「正社員登用制度は、その他の事情として、不合理性を否定する有効な制度」であると示されました。また日本郵便では、個々の労働条件を個別にその性質・目的を踏まえて判断することを改めて示されました。職務の違いを理由にすることの出来ない、属人的な手当、休暇制度、福利厚生は見直しが必要であることが重要なポイントです。最後にまとめとして、これらの最高裁の判決を集約すると、労働条件に応じて3つの性質・目的に区分できます。一つ目が「正社員の人材確保」という目的を踏まえ有期契約労働者への不支給を不合理ではないとしたものが賞与と退職金です。2つ目は 「長期継続勤務への期待及び長期継続勤務を確保すること」を目的とした給付で継続的な勤務が見込まれる又は実際に長期勤務である有期契約労働者には同様の支給が必要なものとして病気休暇と扶養手当が上げられました。3つ目は、各労働条件の性質や目的から有期契約労働者にも適用となり、同様の支給が必要と判断したものが、皆勤手当、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当、年末年始勤務手当、年始祝日給及び夏期冬期休暇となっています。これらのカテゴリー分けを自社の労働条件に当てはめグレーゾーンを判断することをお勧めします。
働き方改革関連法が施行され、その最難関となっているのが、この「同一労働同一賃金」への適切な対応です。経営者や人事の方々からは、たくさんの困惑や焦りの声を頂いています。制度や法の概要は理解したものの具体的に何をしなければならないのか分からない。一方、取り掛かったものの、この解釈で良いのか不安がある。進めていくほど、グレーゾーンが出てきて分からなくなる。また、財源には限りがあり、全てを合理的に対応していくとが出来ない。何を優先し、どこに落としどころを見つければ良いのか。とのお声がけを頂いているのも事実です。
私たちが提供する「同一労働同一賃金・法対応への実務サポートサービス」では、①貴社で運用できる法対応への適正化 ②労務リスクの最小化 ③自ら解決できるノウハウの提供 の方向性、ポリシーにて、皆様のお悩みやニーズを解決致します。
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